PD-H380 修理 


2023年1月 8日 

ティアック CDプレーヤー PD-H380

■ネットで検索するとこの様に出て来ます

CDプレーヤー
PD-H380
希望小売価格 42,000円(税抜40,000円)
リモコン付属

2008年8月25日発売
2011年12月末生産終了

「PD-H380」は、実績あるティアックのCD技術を搭載し、
ヨーロピアンテイストの美しい演奏を追及したCDプレーヤーです。

仕様説明

周波数特性 20Hz~20kHz±2.0dB
全高調波歪率 0.005% (1kHz、0dB)
S/N比 120dB以上 (1kHz、0dB、A weight)

電源 AC100V,50/60Hz
消費電カ 13W

質量 2.8kg

リモコン (RC-1180) ×1
リモコン用乾電池(単4) ×2

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オークションでゲットしたものは2011年製でした。 問題も無く稼働品でしたが音がくたびれている様に聴こえました。そこで、いつもの事でもってコンデンサ交換をしました。すると音が断然に違います。 音がよみがえり、感動を覚える音を聴かせました。
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まずは電源基板から交換を始めました

▲ 電源トランスとリアパネルに使われているネジは3種類です。
① ② ③ の3種類ですが、①のネジの4本は、トランスをリアパネルに固定するネジです。 長さが短いので組み立てる時に間違わない様に注意です。
②のネジは少し長くて、リアパネルに付く端子を固定するネジです。
③は、下側からリアパネルを固定するネジです。 リアパネルを分解した時に、この様に仮止めをしておくとネジを間違いません。
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※ソケット類が多いので、ソケットには合いマークを入れておくと便利です。
交換前のコンデンサの頭に①、マジックで印を入れておくと、交換がどこまで進んだかが直ぐに分かります。 また、交換したコンデンサを間違って抜く事をなくします。
②のコンデンサに限らず、基板のコンデンサを抜くのに、指がコンデンサの間に入らないので、コンデンサを抜くのが困難です。
▼ その様に密集したコンデンサを抜く場合にはラジオペンチを使う場合があります。 しかしその場合、必ず基板の裏側を見て、基板の表側からコンデンサを抜いても大丈夫な配線幅があるのかを確かめます。
基板裏の配線幅を確かめて、表側からコンデンサを抜いても大丈夫と判断できればラジオペンチでコンデンサを挟んで抜きます。
▼ コンデンサを抜く時には裏側の配線幅を必ず確かめます。
▲ 黄色い矢印は、黒マジックでもって、この足を抜くとする確認用の印をしました。
赤の棒は、コンデンサの足の部分に当たるハンダ点です。 そのハンダ点にある配線幅を確かめます。 この写真では、プラス、マイナスのハンダ点にある配線幅は、かつがつ広く基板の表側からの引き抜きに耐える幅なので、ラジオペンチを使って表側からコンデンサを抜きます。
▼ コンデンサを抜いた後は必ず、新しいコンデンサの足が入る為の穴② を開けます。 電気コードの銅線部分をハンダの吸い取りとして使います① その場合、ペースト缶の中に銅線を突っ込み、あるいは半田ごてでペーストを少し溶かしてその中に銅線を入れて、銅線にタップリとペーストを付ける事が大切です。 
当選にペーストがタップリ付くと、穴に残っている余分なハンダを効率よく吸い取ります。
▼ 63/47が無くて、63/100マイクロファラッドが有ったので47マイクロファラッドの代わりに使いました。
▼ 足の部分にストッパーの役目をする突起を作りました。理由は、コンデンサの足元に小さな抵抗があり、コンデンサを根元まで基板に差し込むと小さな抵抗に干渉する為に、コンデンサを少し浮かせる為に突起を作りました。
▼ が、オリジナルの63/47です。 ②が代用の63/100です。大きさがかなり違うけれども大丈夫です。
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電源基板が終わり、次はメイン基板のコンデンサ交換です

▼ メイン基板です。 基板の種類は多層基板です。各ソケットには合いマークを付けます。
※多層基板の多くはオリジナルのハンダの種類が違うのかは分かりませんが、半田ゴテを当ててもハンダがなかなか溶けません。なのでコンデンサ 1本を抜くのにも数分必要です。さらに交換をする新しいコンデンサの足を差し込もうとしてもなかなか差し込めず、1本を交換するのに時間は十数分かかります。
多層基板はその様にコンデンサの交換がかなり難しい基板です。 なので説明をする様にコンデンサの下の部分にある凹みの部分をニッパで切り、残ったリード線の部分に新しいコンデンサの足を継ぎ足します。 植木でいう「挿し木」みたいな手法でもってコンデンサを交換します。
▼ 少し拡大します。
▲ オリジナルのコンデンサの外装も黒色です。 新しく交換をするコンデンサの外装も黒色です。なので交換忘れが無い様にオリジナルの頭にはマジックで印を付けておきます。
▲ 多層基板なので、オリジナルのコンデンサはなかなか抜けません。 なのでここでは、次の様な交換方法を使います。 その手始めとして、赤い矢印が示す部分=コンデンサの下部にはカシメの部分として凹みがあります。
▲ そのカシメ部分の凹みの箇所をニッパを使い、コンデンサをスパット切ります。
▼ 赤い矢印が示している様にコンデンサを切ります。
▲ 赤い矢印の様に切った後、残りのカスが残ります。 そのカスを取ります。 カスを取り除いた後に、コンデンサの中に有った電極の頭が残っていた場合には、その頭の部分だけを切り取り、基板から突き出ている足の残りの部分をカッターなどでハンダが着きやすい様に少し磨きます。
▼ 少し分かりずらいですが、①と示している矢印の先には、基板から突き出ている電極の残り部分があります。 磨くのはこの部分です。
▼ ②の部分にはすでに新しいコンデンサをこの基板から突き出た残りの部分にハンダ付けをしています。
▼ 新しく付けるコンデンサの足は、この様に L形に曲げます。 曲げる方向は取り付ける場所によって、マイナスを正面に見て、右側に曲げたり、左側に曲げたりします。

L形に曲げた後、写真の様に少しハンダを盛っておきます。 そして基板に突き出た電極にハンダ付けをする場合には、曲げている部分にペーストを少し着けておきます。

その様な準備をして後、基板に新しいコンデンサをハンダ付けします。
L形に曲げた足の部分にはすでに ハンダ盛りをしている為に、基板に突き出ているリード線の部分にL形に曲げた部分を合わせて、半田ごてを当てて、ハンダ盛りのハンダを溶かすと、すでにハンダ盛りがある為に、ハンダ線を持って行かなくても、ハンダ盛りのハンダだけで新しいコンデンサはリード線に接合できます。

▼ ① と ②のコンデンサはなんとか基板の表側から抜いて交換をした様です(修理をしたのはかなり前なのでよく覚えおていませんが今回、基板を見て確認しました。この2本だけは普通の方法=基板の表側からコンデンサを抜いた様です)
▲ ③と④の大きなコンデンサは基板の表側から抜けます。 どの様な多層基板でも大きなコンデンサは基板の表側から抜ける様です。
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交換前のオリジナルの様子です

▼ コンデンサ交換が終わったのでメイン基板を本体に組み込みます。 赤い矢印の部分=CDドライブの下に入る部分では、高さ制限があるので高さに注意です。
▼ フロントパネル内のコンデンサも交換をしました。4本のコンデンサが使われています。 3本は小型のコンデンサです。
▼ メーター基板の裏側です。
▼ メーター基板の配線は細いので、表側からコンデンサの足を切り、基板の裏側からビンセットと半田ごてを使って切った残りの足の部分を抜きます。

以上の様にして修理をしました。

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記事を書くにあたり、次の事を思い付きました

ティアックの このCDプレーヤーの修理では、トレーを引き抜いての作業は全くありませんでした。 しかし記事を書くにあたり内部をもう一度よく見ると トレーを引き出す時の方法が分かりました。 それはオンキョーのCDプレーヤー = C-711M  /  C-722M のトレーの抜き出し方とまったく同じです。 次の写真の比較でそれが分かると思います。
▼ トレーのロックの穴に、先の小さなものを差し込み、矢印の方向に少し動かすとトレーを止めているロックが外れてトレーが引き抜けます。 ロックなので当然にトレーの左右にあるはずです。 この写真は今回のティアック PD-H380のものです。
▼ オンキョーの C-722Mの写真です。 赤い矢印の部分がトレーのロックです。 ロックの形が今回の ティアック PD-H380のロックの形と全く同じです。

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シリコングリスはほどほどが良い

シリコングリスを持っていると、ついついギャーなどの部分に多く付けたくなります。 しかし最近は考え方が少し変わって来ました。
シリコングリスはピックアップが移動をするレールガイドに付ける事は有効だけれども、ピックアップを動かす歯車には全く付けなくても良い・・と思う様になりました。
CDを再生中のピックアップを動かす白い歯車を見ているとその回転は、本当に回転をしている? というくらいの分からない程のかすかな動き方です。 モーターの様に高回転する歯車でないのでシリコングリスは付けなくて良いと思う様になりました。
歯車の種類によっては、シリコングリスが歯車の割れを招くのでは? と考える様になりました。 ソニーのCDレコーダー RCD-W500CのCDチェンジャー部分にある小さなピックアップを動かす歯車の中には、割れが発生しているものがあります。
このピックアップを動かす歯車の動きは本当に動いている? というくらいの動きです。 その様なストレスが掛からない様な遅い動きに対してシリコングリスを塗布しなくても良いのではと思う様になりました。

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リモコンはこの様なものです

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PD-H380の修理報告は以上です

※機器の修理でもって、コンデンサ交換作業が終わり、いざテスト・・という段階でもって意外に多いのが、(電源基板に電源でラグからのソケットがあるタイプの基板)でもって、その電源プラグからのソケットを電源基板に差し込み忘れているのに、電源スイッチを入れても電源が入らないと焦ることがあります。
電源基板に電源コードからのソケットがある場合、電源基板に入る電源ソケットの確認を忘れない様にしてテストに入ります。 ソケット接続を忘れると交換が失敗をしたのか? と焦ります。